ハウジング or ベアメタル? 物理サーバ運用の最適解

2017.01.13

ベアメタルクラウドのアドバンテージ

高負荷で安定性も強く求められるアプリケーションを運用する、あるいはトランザクション量が多いデータベースサーバを立ち上げるといった際、仮想サーバを提供するIaaSではなく、物理サーバを選択するケースは多いでしょう。物理サーバであれば、仮想サーバのオーバーヘッドがなく、スペックどおりのパフォーマンスが期待できるほか、ほかのユーザーの影響によってパフォーマンスが低下してしまうといった心配もありません。

この物理サーバの運用形態はいくつかありますが、ここでは自社所有のサーバをデータセンターで運用するハウジングと、クラウドサービスとして物理サーバを提供するベアメタルクラウドについて比較してみましょう。

まずハウジングの場合、サイジングをして必要となるスペックを要件としてまとめ、それを満たす製品を選定して発注するという流れになります。問題はリードタイムで、発注から納品までに数週間のリードタイムが発生することが一般的であり、スピードが求められるシーンでは大きなマイナスになります。さらに購入したサーバは資産として計上する必要があるほか、サーバにトラブルが発生すれば自社で対処しなければなりません。

一方、ベアメタルクラウドであれば申し込めばすぐに使い始められるため、たとえば開発環境やテスト環境が急遽必要になったといった場面にも対応できます。また物理サーバの利用料金は費用となり、物理サーバを購入した場合のように資産として計上する必要がありません。

なおハウジングを選択する理由として、冗長構成やロードバランサ、ファイアウォールなどを使ってシステムを構成したいといったことが挙げられる場合があります。ただ昨今のクラウドサービス、特にベアメタルクラウドではこうした要件を満たすことができるサービスが増えており、システム構成上の制約は解消されつつあります。

 

ハウジングとベアメタルのコスト比較

それでは、ハウジングとベアメタルクラウドで、実際のコストはどう違うのでしょうか。ここでは、以下の条件でハウジングによる運用と、ベアメタルクラウドの利用でコストを比較しました。

・サーバ台数は30台。
・サーバのスペックはIntel Xeon E3 4コア8スレッド/メモリ16GB/ストレージSATA HDD 2TB×2(RAID1)
・インターネット回線は共有100Mbpsを利用
・ハウジングで利用するのは4kVAのラックを1つ
・ラック内にL3スイッチ、L2スファイアウォール、ロードバランサをそれぞれ冗長構成で設置
・ハウジングではネットワーク構築費用も含む

この条件で3年間分の費用を比較したところ、以下のような結果になりました。

構成比較

この結果から、3年間の利用であればベアメタルクラウドの方がコストを抑えられることが分かります。ただ、つねに一定の費用が発生するベアメタルクラウドに対し、ハウジングで2年目以降に発生するコストは回線とラックの利用料と保守費用だけになるため、4年目以降はハウジングの方が純粋な支払額は減少します。

コスト比較

単純に考えると、長期間利用するのであれば自社で購入しハウジングで運用する方が安いということになります。しかしその場合、サーバにハードウェア障害が発生すれば自身でサポートなどを依頼する、あるいは、自社で対応するなどの見えないコストが発生します。一方、ベアメタルクラウドであれば、ハードウェアレイヤーの運用はサービス提供者側で行われます。こうしたことまで考えると、長期間に渡って利用する場合でも、ベアメタルクラウドにコストメリットがあるのではないでしょうか。

もちろん実際のシステムを構築する際には、自社の要件を満たせるかどうかが重要なポイントになるでしょう。たとえばサーバとして特定のモデルを使う必要があるといった場合、スペックは選択できても具体的なモデルまでは指定できないベアメタルクラウドでは対応できません。一方、サーバを追加する必要が生じた際のリードタイムをとにかく短縮したいと考えるのであれば、ベアメタルクラウドに大きなアドバンテージがあります。

メリット比較

物理サーバの運用環境としてハウジングとベアメタルクラウドを選択する際には、上記にまとめたそれぞれのメリットを考慮し、最終的な判断を下すべきでしょう。