ベアメタルで実現するホステッドプライベートクラウド

2017.03.24

パブリックとプライベートの“いいとこ取り”

外部で提供されているクラウドサービスを利用するのではなく、自社で独自にクラウド環境を構築し、それを利用する形態が「プライベートクラウド」です。ハードウェアなどの資産を持たずに利用できるパブリッククラウドに対し、プライベートクラウドは自前でインフラを整えて利用する形です。

そのためプライベートクラウドには、クラウドならではのメリットに乏しい面があるのも事実ですが、自社で構築したプライベートクラウド環境を利用している企業は決して少なくありません。その背景にある理由としては、特定の仮想化基盤ソフトウェアを使いたい、あるいはほかのユーザと共有しているリソースに機密情報は保存できないなど、パブリッククラウドでは対応できない要件を満たすことが挙げられます。

ただ、プライベートクラウドを構築するにはサーバやストレージ、ネットワーク環境などをすべて整える必要があるほか、それらの運用にも対処しなければなりません。クラウドの名前こそ付いているものの、その実態はオンプレミスでの運用と変わらず、ユーザは相応の負担を強いられることになります。

そこで昨今注目を集めているのが、ホステッドプライベートクラウドと呼ばれるサービスです。これはプライベートクラウド環境をホスティングサービスとして提供するものであり、仮想化基盤ソフトウェアを自由に選択できるほか、サーバやストレージといったリソースを占有して使えるため、ほかのユーザの影響を受けることもありません。セキュリティポリシーにより、共有リソースには機密情報を保存できないといった要件がある場合でも使えるでしょう。

自社で構築するプライベートクラウドと比較した場合、ハードウェアの運用はサービス提供自社側で行うことになるため、自社の負担を軽減できるメリットがあります。さらにリソースが不足した場合、プライベートクラウドではサーバやストレージを発注して納品されまでにどうしてもタイムラグが発生しますが、ホステッドプライベートクラウドであれば即座にリソースを追加することが可能です。

 

パフォーマンスやセキュリティ面での不安を解消できる選択肢

ホステッドプライベートクラウドを実現する方法として、クラウドサービスとして物理サーバを提供する、ベアメタルクラウドを利用する方法があります。VMware社などが提供する商用プロダクト、あるいはKVMやOpenStackなどのオープンソースプロダクトをベアメタルクラウドに導入し、プライベートクラウドとして利用する形です。また、サービスによっては仮想化基盤ソフトウェアを導入するための仕組みをコントロールパネルなどで提供しているケースもあります。リンクのベアメタルクラウドでは、物理サーバにKVMを導入する仕組みがコントロールパネルに実装されており、ユーザは自由に物理サーバ上に仮想サーバを構築し、プライベートクラウドとして利用することができます。

ベアメタルコントロールパネル

すでにオンプレミスでプライベートクラウドを構築している場合、そこで使っている仮想化基盤ソフトウェアをそのまま利用できることは、ベアメタルクラウドでプライベートクラウドを構築する大きなメリットです。同じ仮想化基盤ソフトウェアであれば、仮想サーバの移行なども容易であるほか、運用におけるノウハウもそのまま流用できます。この利点を考えると、オンプレミスからクラウドへの移行において、ベアメタルクラウドの活用は新たなトレンドとなる可能性を秘めていると言えます。

こうしたホステッドプライベートクラウドの具体的な利用例として、まず挙げられるのは全社的なIT基盤のインフラとしての使用です。前述した「持たずに利用できる」クラウドのメリットが享受できる上、運用面での自由度も確保することができます。オンプレミスからクラウドへの移行を検討している企業にとって魅力的な選択肢となるだけでなく、物理サーバを使うことによるパフォーマンスやセキュリティ面でのメリットを考えると、パブリッククラウドからの移行も十分に考えられます。

一時的に複数台のサーバ環境を利用したいといった場面でも使えるでしょう。ベアメタルクラウドを提供するサービスによっては、1日単位で物理サーバを利用することが可能であり、それに仮想化基盤ソフトウェアを組み合わせれば、必要な台数分の仮想サーバを手早く用意することができます。

仮想サーバを気軽に利用できるパブリッククラウドは確かに便利な存在ですが、ここまで解説したようにパフォーマンスやセキュリティ面で不安があるほか、運用の自由度という面でも課題が残ります。これらが気になるのであれば、物理サーバをベースに独自のクラウド環境を構築する、ホステッドプライベートクラウドは有効なソリューションとなるでしょう。