SMTPリレーとは!? 今さら聞けないメール配信の基礎知識

2017.12.08

メールの配送に使われるSMTP

顧客向けに新商品のお知らせメールを一斉に送りたい、あるいは会員登録したユーザーに対してメールで通知したいといったケースにおいて、遅延が生じて相手に届くまで時間がかかったり、そもそも相手に届かなかったりするトラブルは珍しくありません。このような事態が生じる理由として、送信に利用するメールサーバの処理能力不足や、迷惑メールとして誤って判断されて破棄されるといったことが挙げられます。

こうした問題を回避し、迅速かつ確実に大量メールを送信するサービスとして提供されているのが「SMTPリレーサービス」などと呼ばれているものです。いわゆるメールの送信代行サービスですが、通常のメールサーバを使った送信と何が違うのでしょうか。それを知る前に、まずはメール送信に利用されるプロトコルである、「SMTP」(Simple Mail Transfer Protocol)について理解しておきましょう。

パソコンのメールソフトで作成したメールは、次の図のように流れて相手まで届きます。

 

メール配信の仕組み

このようにメールを送信する際、自分が使うメールソフトが送信用メールサーバにメールを転送するとき、そして送信側メールサーバから相手の受信側メールサーバへとメールを転送するために使われるのがSMTPです。

SMTPを使って送信するメールは、「エンベロープ」と「メールヘッダ」、そして「メール本文」の3つで構成されています。エンベロープとはもともと封筒という意味で、ここには送信元と宛先の情報が記録されています。メールヘッダにあるのは送信日時や送信元、宛先、件名などの情報です。なお送信元と宛先の情報は、エンベロープとメールヘッダの両方にありますが、SMTPサーバが利用するのはエンベロープに記載された内容です。ただエンベロープの内容をユーザーが記載する必要はなく、メールソフトがメールヘッダの情報を使ってエンベロープを作成します。

メールの構成

DNSで相手サーバを特定してメールを配信

さて、メールソフトからメールを受け取った送信サーバは、そのメールを転送するサーバを特定しなければなりません。この際に使われるのは「DNS」(Domain Name System)です。インターネット上で通信先を特定する際に使われるIPアドレスと、ドメイン名と呼ばれる名前を変換するための仕組みがDNSであり、たとえばWebサイトにアクセスする際、Webブラウザのアドレスバーに「baremetal.jp」などと入力するでしょう。これがドメイン名で、WebブラウザはOSを通じて、指定されたドメイン名に対応するIPアドレスをDNSサーバに問い合わせます。

DNSサーバにはメールサーバのドメインも登録することが可能であり、その情報は「MXレコード」と呼ばれます。メール送信のサーバは、メールを別のサーバに転送する必要が生じると、エンベロープに記載された宛先メールアドレスのドメイン名(@の右側部分)をチェックし、そのドメイン名に対応するIPアドレスをDNSサーバに問い合わせるわけです。こうして相手先のサーバが確定すると、SMTPで接続してメールの転送を行います。では、宛先として指定されたユーザーがメールを受け取る際にはどうするのでしょうか。ここで使われるのは「POP3」(Post Office Protocol version 3)や「IMAP4」(Internet Message Access Protocol version 4)といったプロトコルです。

SMTPでメールを受け取ったサーバは、それをいったんストレージに保存します。これを取り出すために使うのがPOP3やIMAP4で、メールソフトからサーバに接続し、自分宛に届いたメールを取得します。なおPOP3とIMAP4ではメールを管理する場所が異なり、POP3ではメールソフトがあるパソコン側、IMAP4ではサーバ側で管理します。SMTPを使った基本的なメール配送の仕組みはインターネット黎明期から変わりませんが、迷惑メールの増加にともなって徐々に新たな仕組みが追加されるようになります。

 

大量メール配信を妨げる迷惑メール対策

インターネット上におけるメールの送受信ではSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)が使われています。このSMTPはシンプルであり、誰でも自由にメールを送信できる特徴がありますが、それを逆手に取って広まったのが迷惑メールです。宣伝や詐欺などを目的として、無差別かつ大量に送信される迷惑メールは、インターネット社会において大きな問題であり、これまでさまざまな対策が講じられてきました。その1つとして挙げられるのが、ISPなどによるメールの送信制限です。これは一定時間内に送信できるメール量を制限し、それを超えた場合にはメールの送信が不可能になるという仕組みです。通常のメール利用では、1時間に数百通ものメールを送信するといったことはないでしょう。そこで短時間での大量のメール送信は迷惑メールの送信を行っていると判断し、メールの送信を拒否するというわけです。

ただ、自社サービスの会員向けに一斉に案内メールを送りたい、あるいはユーザ自身によるパスワード再設定処理のためにシステムから自動でメールを送信したいなど、正当な理由で一定時間内に大量のメールを送信したいこともあります。このような場面では、迷惑メール対策が大きな足かせとなるのです。ドメイン認証と呼ばれる迷惑メール対策も広まっています。これは送信者のメールアドレスのドメイン名が偽装されていると判断した場合にメールの受信を拒否する仕組みです。迷惑メールの多くがドメイン名を偽装したメールアドレスを利用しているため、有効な対策の1つであると言えます。

なおSMTPサーバは誰でも自由に構築することが可能であり、プロトコル上は自分で構築したSMTPサーバを使ってメールを送信することも不可能ではありません。ただ現在は、送信者からSMTPサーバへメールの送信設定を行う際に、送信者のアカウント名やパスワードが正しい利用者であることを確認してから送信をする、SMTP認証(SMTP Authentication)を行なっているケースが一般的ですのでこうした方法でのメール送信は現実的ではないでしょう。

また、迷惑メールだと判断されなかったとしても、SMTPサーバの処理能力不足、あるいは帯域不足によって遅延や不着が生じる恐れがあります。ECサイトにおける商品購入確認メールなど、迅速かつ確実に相手に届けたいといった場合、こうした問題が生じればビジネスに悪影響を及ぼすことにもなりかねません。

 

迷惑メール対策

 

 

 

ビジネスでの大量メール配信をサポートするSMTPリレーサービス

このように、迷惑メール対策やシステム上の要因から、大量のメールを送信するのは難しいのが現状です。そこで、こうした課題を解決するサービスとして提供されているのが、SMTPリレーなどと呼ばれているメール配信に特化したサービスです。これらのサービスがSMTPリレーなどと呼ばれているのは、バケツリレーのように複数のサーバを介してメールを配送するSMTPの仕組みを使っているためです。SMTPが生まれた当初は、相手のサーバと直接通信できるとは限らなかったため、別のサーバを介して相手のサーバにメールを配送するといったことが行われていました。たとえば、直接通信することができない組織Aと組織Cでメールを送受信する際、両者に接続している組織Bのサーバがメールを中継するといった形です。

SMTPリレー

現在では相手の組織のメールサーバと直接メールを送受信することが一般的で、別の組織のメールサーバを介することはほとんどありません。ただSMTPには、メールを中継して送信する機能が残っており、SMTPリレーサービスではこの仕組みを使います。具体的には、自社のメールサーバに対してSMTPリレーサービスを提供しているSMTPサーバを中継するように設定します。これにより、相手のメールサーバに直接送信するのではなく、SMTPリレーサービスを使って送信できるようになるわけです。こうしたサービスで使われるSMTPサーバは、大量のメール送信を可能にしているだけでなく、Gmailなどのサービスや各携帯通信キャリア、ISPなどから信頼を得ることで、大量のメールを送信しても確実に相手に届くようにしています。

大量のメールを確実に送信するため、技術的な工夫も盛り込まれています。たとえばリンクが提供するメール配信サービスである「ベアメール」では、処理を複数のサーバに分散するロードバランサーを使い、複数のSMTPサーバを使ってメールを送信するようにしているほか、広帯域のネットワークを使ってインターネットに接続しています。

 

ベアメールの特長

baremailbanner

またベアメールでは、コントロールパネルを使って配信状況を確認することが可能なほか、TLS(Transport Layer Security)を使ってメールを暗号化して送信する仕組みも備えています。APIでの操作にも対応しているため、システムとの自動連携も実現できます。

メールはビジネスの幅広い領域で使われており、内容によっては遅延や不達が大きな影響を及ぼすことも考えられます。こうした不安を解消する上で、SMTPリレーサービスは極めて有効な解決策となります。もし大量メールの送信で遅延や不達に悩んでいるのであれば、ぜひ利用を検討してみましょう。

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