フジテレビゲームスタジオは、元々フジテレビのサイト内コンテンツ用ゲームを制作・運用していた。その後、2010年の「Yahoo!モバゲー 正式版」グランドオープンにあわせて開発した「ネットでガチャガチャ もやしもん」のゲームから外部プラットフォームでも展開を行っている。続く「ネットでガチャガチャ テルマエ・ロマエ」のゲームもヒットし、今では有効会員数1,200万人超の※1Yahoo! Mobage内で人気タイトルに。最新作「ゲゲゲの鬼太郎 妖怪横丁」は23万人※2を超えるユーザが遊ぶ大ヒットゲームとして「Yahoo! Mobage Award 2013 ルーキー賞」を受賞し非常に高い評価を得ている。
※1 2013年12月時点
※2 2014年4月1日時点
コンテンツ映像センターゲーム＆インキュベーション事業部元々は他社のクラウドサーバサービスを利用していた同社。ゲームの人気に比例して、サーバ負荷に悩まされた日々をゲーム開発エンジニアの加藤氏が語ってくれた。
「特にDBが苦しかったです。フロント側は台数を並べれば何とかなるけれども、DBサーバの負荷がボトルネックになってしまっていました。プログラミングが主業務のはずが、いつのまにかDBの負荷軽減に頭を悩ませる日々が続くようになっていました」。
あるゲームにおいてはAPIアクセスが１分間に2～3万まで到達し、当時利用していたクラウドサーバでは最大スペックにしてもさばききれなかったという。また、他社が起こしたトラブルにより自社サービスに影響が及んでしまうという、自分たちでは解決できないパブリッククラウドならではの状況に直面する苦い経験もした。そんなときに ioDrive の存在を知り、他社の影響を受けない専用環境が使えて、高速I/Oを実現する ioDrive が利用できるアプリプラットフォームの導入を決めた。
3社ほど比較検討したなかで選ばれたアプリプラットフォーム。選定基準について加藤氏は「フロントがクラウド、バックエンドが物理サーバにできる他社さんのサービスも魅力的に思いましたが、今回のコンテンツ「鬼太郎」はネームバリューがとても大きい。スモールスタートにこだわる必要はなかったし、むしろ「ヒットさせなければ」というビッグタイトルでした。すべて物理でやれるならそれがベストだったのです」という。ハイブリッド構成を選ばなかった理由としてさらに「クラウドは使ってみないとわからないことがある。契約スペックが使えないことも」と経験からより安定性を重視し専用サーバを選んだことを教えてくれた。
アプリプラットフォームを導入してみて、加藤氏は ioDrive のすごさを実感した。
「無茶ができる。それまで悩まされていたレプリケーション遅延から解放されましたね。利用開始当初はモニタリングでLoad Averageなどをチェックしていたのですが、アラートも上がらないので、最近は「もうチェックしなくていいかも」という平和な毎日です（笑）」。
「ゲゲゲの鬼太郎 妖怪横丁」は夜の時間帯で平均して50Mbps前後のトラフィックが出ている。プレイヤは20代～40代の女性が多いことが特長だ。
「これまで利用していた他社サービスはクラウドだったので単純な性能比較は難しいですが、アプリプラットフォームではトータルコストがかなり安くなっています。コストと安定性、それから速さという点で非常に満足度が高いですね」。
今後の課題についても、安定稼働を最優先に挙げる加藤氏。ユーザ数の増加にあわせてフロント側サーバを補充する予定だが、DB側は当分現状のまま運用できる見通しだという。
「このゲームは日本人なら誰もが知っている「ゲゲゲの鬼太郎」というコンテンツで、お店を開いて横丁を拡張し成長させていくゲームです。バトル要素もありますが、かわいいキャラクタが動いて、見ていて楽しいゲームを目指して作っています」。
サービスの安定稼働は「ゲゲゲの鬼太郎 妖怪横丁」のようなファン層の厚いコンテンツ運営においては特に重要な課題となる。ユーザが本当に望むものはクラウドや物理サーバという選択肢の手前にある、「安定性や信頼性」といった基本的な問題の解決であることはこれからも変わらない。
