各クラウドサービス事業者で提供される物理サーバを比較

2017.06.13

サービスによって異なる“物理サーバ”の提供形態

IaaSとして提供される仮想サーバには、同じ物理サーバを共有するほかのユーザの影響を受ける可能性があるほか、仮想化処理のオーバーヘッドによる性能低下などの問題があり、特にパフォーマンスを求めるシーンでは気になるところです。また企業によっては、セキュリティポリシーやコンプライアンス上の理由から、ほかのユーザと物理サーバを共有することが許されていない場合もあるでしょう。こうした問題に対処するため、いくつかのクラウドプロバイダでは、物理サーバを提供するサービスを用意しています。

ただ、物理サーバをクラウドサービスとして提供するといっても、その意味するところはさまざまで、注意しなければ期待した効果を得られなかったということにもなりかねません。それでは、具体的にどのようなサービスがあるのでしょうか。

クラウドサービスにおける物理サーバの提供形態は、大きく2つに分けることができます。1つ目はオンプレミスで導入したときと同様に物理サーバを直接ユーザが使えるサービスであり、リンクの「ベアメタルクラウド」やIBMの「IBM Bluemix Bare Metal Servers」、Oracleの「Bare Metal Cloud Services」などが挙げられます。

2つ目は物理サーバとして提供されるものの、直接物理サーバを操作するのではなく、その上で仮想サーバを実行して利用するというサービスです。具体的には、Amazon Web Servicesが「Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)」で提供する「Dedicated Instance」や「Dedicated Host」、さくらインターネットが「さくらのクラウド」で提供している「専有ホスト」などがあります。

物理サーバとして使えないサービスのメリット

メリットが分かりづらいのは、2つ目の物理サーバを直接使うことができないタイプのサービスでしょう。確かに、ユーザが実際に使うのは仮想サーバであるため、仮想化処理のオーバーヘッドが解消されることはありません。しかし物理サーバを独占的に利用できることから、ほかのユーザの仮想マシンの影響を受けることがないのは利点です。また、物理サーバを共有することが許されていないケースで利用できることも、仮想サーバを提供する一般的なクラウドサービスとの違いでしょう。

ライセンス面でのメリットもあります。一部のソフトウェアでは、ライセンス費用がCPUソケットやCPUのコアの数によって決定されます。物理サーバでの運用であれば、こうしたライセンス体系でも問題はありませんが、クラウド上で提供される仮想サーバで利用する場合、そもそも物理CPUやコアの数を把握できないため、ライセンス利用料が算定できず、実質的に利用できないということになってしまいます。

多くのソフトウェアでは、こうした現状を鑑みてクラウド向けのライセンスを提供していますが、それでもオンプレミスで利用していた既存のライセンスをクラウドに持ち込みたいといったケースでは問題が生じます。そこでAWSのDedicated Hostなど物理サーバを提供する一部のサービスでは、CPUソケットや物理コア数を把握できるようにしており、ライセンスの持ち込みを可能にしています。

このほかにも、サービスによって物理サーバの扱いや提供される機能にはさまざまな違いがあります。次回からは、物理サーバを提供する各種サービスの詳細をチェックしていきます。お楽しみに!