物理サーバのデメリットを解消したベアメタルクラウド

2016.12.07

物理サーバの欠点は「使い始めるまでのタイムラグの長さ」

物理サーバと比較したときの仮想サーバのメリットとして、必要なときにすぐに使える(仮想サーバを作成できる)ことが挙げられるでしょう。たとえば開発プロジェクトの途中で急遽サーバが1台必要になったといった場面でも、仮想サーバを提供するIaaSを使えば即座に用意することができます。

一方、物理サーバは実際に使えるようになるまで多くの時間がかかります。まず用途に合った製品を探して見積もりを依頼し、金額を確認した上で発注、そして納品という流れですが、発注から納品までに数週間を要することも珍しくありません。さらに製品が到着した後も、サーバラックにマウントしたり、OSをインストールしたりと、実際に使い始めるまでにさまざまな作業を行う必要があります。

こうした物理サーバのデメリットを解消し、あたかもIaaSで提供される仮想サーバのように、気軽に物理サーバを利用できるクラウドサービスが「ベアメタルクラウド」です。基本的なサービスの仕組みは一般的なIaaSと同様ですが、提供されるのは物理サーバ(ベアメタルサーバ)であり、仮想化のオーバーヘッドや、ほかのユーザーの影響によるパフォーマンスのブレを気にすることなく、ハードウェアスペックをフルに使い切れるサーバをすぐに使い始められます。

 

GUIで簡単にできる物理サーバのセットアップ

それでは、実際に物理サーバをクラウド上に構築してみましょう。まずWebブラウザでベアメタルクラウドのサービスにログインし、コントロールパネルを表示します。その「物理サーバ」の画面にある「+」ボタンをクリックすると、物理サーバを作成するためのダイアログが開きます。

コントロールパネル

ダイアログで指定するのは、ホスト名とサーバマシンのスペック、インストールするOSの種類、ローカルIPアドレス、そして異常時などに通知を送信するメールアドレスです。これらをそれぞれ指定した後、「追加」をクリックすると物理サーバのセットアップが始まります。

provisioning

この後、「サーバのセットアップを受け付けました」というメッセージが画面に表示され、クラウド側での作業が始まります。状況によってセットアップ完了までの時間は異なりますが、15~30分程度でホスト名の下に表示されるステータスが「インストール中」から「稼働中」に切り替わり、物理サーバを使い始められるようになります。

install-1 install-2

ちなみに、今回の検証では、夕方の16時58分にサーバの作成を開始し、25分後の17時23分には使えるようになりました。セットアップを済ませ、ちょっとコーヒーを飲みに行って返ってくれば物理サーバがセットアップされているといった感覚です。

 

使いたいときにすぐに使える物理サーバ

セットアップされたサーバには、作成時に指定したOSがあらかじめインストールされているため、わざわざISOイメージをアップロードしてOSをインストールするといった作業は不要です。また、作成した物理サーバのスナップショットを作成し、それを利用して別の物理サーバを構築することもできます。このため、同じサーバを複数台構築して負荷分散を図りたいといった場面でも、手間をかけることなく環境を整えられます。

このように、ベアメタルクラウドであれば物理サーバでも必要なときに即座に使い始めることができます。確かにIaaSと言えば仮想サーバのイメージが強いことも事実ですが、物理サーバを「使いたいときにすぐに使える」クラウドサービスがあることを知っておけば、クラウドの活用範囲はさらに広がるのではないでしょうか。

 

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