導入事例

Yahoo!モバゲーの看板タイトルが求めたインフラ環境とは

他社パブリッククラウドからリンクの従来型アプリプラットフォーム（物理サーバのパッケージサービス）へ移行を決めたおもな理由は、運用サービスが求めた「高性能・安定・コスト」のバランスが最も優れていた点にある。
「ゲゲゲの鬼太郎 妖怪横丁」のインフラ環境の変遷は以下の通り。

他社パブリッククラウド
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アプリプラットフォーム…本番環境
プライベートクラウドライト…テスト・開発環境の２サービスを用途別に併用
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リンクベアメタルクラウド

リンクベアメタルクラウドに移行した後の今回のインタビューで加藤氏が真っ先に語ってくれたのは利便性が向上した喜びだった。
「従来型アプリプラットフォームはioDriveが安価に使えることや物理サーバを専有できるという点で、コスト含め満足のいくものでしたが、かねてよりテストや開発環境用として別途契約していた仮想環境（プライベートクラウドライト）と本番環境（従来型アプリプラットフォーム）が同じネットワークにならないか、とリクエストしていました。」
日々の業務において、本番環境からテスト環境へデータを移して作業をしたいという場合、ネットワークが異なっていると、このデータの移動に手間がかかる。
「同じ会社のサービスであっても、使っている側からすると管理画面も別々ですし、全く別のサービスという感覚なのです。」
営業担当から後継サービスとしてリンクベアメタルクラウドの概要を最初にきいたとき、この点が解消されるという仕様に大いに期待したという。

導入して実感する高い利便性と可用性

導入前にリンクが開催したベアメタルクラウドセミナーにも参加してくれた加藤氏は、「コストメリットがなくてもこのサービスは絶対に使いたいと思った」とその時のことを語ってくれた。
その後フジテレビ鬼太郎チームに向けて、弊社開発チームがあらためて管理UIのデモや機能詳細を紹介したところ、実にスピーディに移行が決定した。
導入後に感じた本サービスのいいところをきいてみると、最初にあがったのは監視通知の機能。
「監視通知の設定管理が管理UIで完結出来るのは思った以上に便利ですね。イベント時などにリンクのサポートへ連絡することがつい面倒に思ってしまうのですが、いまはそのやりとりがない分、予め通知を全停止するなど、自分の任意のタイミングで変更できることが楽。」
加藤氏が次にあげたのはロードバランサ機能。現状搭載している同機能はシンプルなものだが、「新人技術者用に仮想環境を用意するのに、踏み台サーバを踏ませるのもリスクがあるもので」と、一般的に使わないポートをひとつあけてそのポート経由でログインさせている。ここでもやはりインフラ担当者側からひとつの管理UI上で設定管理が完結できることにメリットを感じているという。

逆に、鬼太郎ゲームのサービス特性上、自動復旧の機能は利用していない。管理UIには随時最新版にアップデートされる運用マニュアルもあるが、直感的に使えるようシンプルな設計になっており操作に困ることはないそうで、あまり見たことがないとか。現状は何かあれば直接、技術営業担当などに電話やメールで質問や相談して解決している。

インフラ担当者のメリット、チームのメリット

サーバ担当者の加藤氏がいくらこのサービスを使いたいと望んでも、チーム全体（決裁権をもつ会社側）が導入メリットを感じてくれないことにははじまらない。この点について、担当者として感じた導入メリットと会社側のそれは一致していたのか、伺ってみた。
「会社側が感じた移行メリットはコストの部分が圧倒的だったと思います。その上で更に担当者が使いたいならいいんじゃない、と。自分としてはやはり機能面が重要でした。」
チームで管理UIに触れる機会が最も多いのは加藤氏である。
「チーム全体として、簡単にサーバが追加でき安定した稼働ができているので、以前よりインフラを意識して事前に準備や確認していたような作業負担が減っています。ゲーム内イベントの計画などにもその点は良い影響ばかりで、運営ディレクターも進行管理において助かっていると思います。」

ゲームインフラにとって大事なこと

「現場は、安くボコボコとサーバがたてられるなら仮想でなくてもよいと考えています。」という加藤氏。エンジニアとしてAWSのようなサービスを勉強したい気持ちは大きいが、運用中のサービスで導入したいかというと、まったくそう思わないと言い切る。
AWSと比較したいというオーダーをよくいただくので、本サービスのユーザとしてアドバイスできることがないか伺った。
「お金の部分は重要だと思います。リンクベアメタルクラウドは従量課金ではないので安心。自分は決裁者ではないので、会社から「いくらかかるのか」といわれたときに「わかりません」ともいえないので、「大体これくらいかな」と試算して持っていきますが、仮に予算オーバーしてもその責任はとれません。わからないサービスは提案しづらいので、決裁する側がAWSを理解していれば問題ないと思いますが、どこにどう課金がかかるのか全体を把握していないと難しいものです。」
規模や機能選択肢の豊富さとユーザ事例の多様さでは抜群のAWSだが、彼らにとってはベストの選択肢とはならないことを教えてくれた。 「ある程度ユーザ数を見込める中・大規模のサービスならベアメタルは合っていると思います。たとえば1000ユーザからはじめるというような本当にミニマムスタートではじめたい場合はAWSのようなパブリッククラウドが合うかもしれません。しかし安く物理サーバを必要なだけ立てることができたら仮想である必要はないと思っています。ただ物理の怖さも理解していますので、ゲームにとってはDBのファイルがすべてですから、そのファイルだけは可能な限り最も可用性が高い環境に置かなければなりません。」

ひとつの環境にのみ重要なデータを置くリスクは、プラットフォームが何であれゼロではない。サービス事業者側としては、自社サービスのみを使って欲しいということではなく、市場に出揃ってきた様々なサービスをうまく併用・使い分けをしてもらいたいという思いがある。現場担当者のニーズに焦点をあてた管理UIの機能と、他社では真似できない柔軟なサポートを兼ね備えたあらたな物理ホスティングの形態として誕生したリンクベアメタルクラウドは、ユーザ側の考える運用に合わせて機能を選択できるよう、毎月細かなアップデートを行っている。
鬼太郎チームでは、今回の移行に際して、サーバ構成を既存環境と同様に準備したが、想定以上に高パフォーマンスだったので、よりマシンスペックを上げ運用台数を減らすことにした。これによりランニングコストは移行前と比較して想定よりも数割削減することができた。インフラ担当者として利便性、可用性が向上し、「いまは一番安定しています。現状では、これ以上のものはないと思います。」と非常に満足していることを語ってくれた。

最後に加藤氏からひとこと頂戴した。
「ユーザ投票で選出される「Yahoo! Mobage Award 2014 ユーザが選ぶベストタイトル賞」を戴けたことは本当に嬉しく思っています。
「鬼太郎」がやりたいから Yahoo! モバゲーに登録しよう、と思ってもらえるようなゲーム作りを心掛けていますので今後ともよろしくお願いします。」