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クラウドサービス選定時の落とし穴
クラウドサービスの選定において、安定して動作することは絶対条件の1つでしょう。もちろん計画停止は仕方ありませんが、たびたび突発的にトラブルが発生してサービスが止まるようなクラウド環境では、安心してシステムを運用することはできません。
このクラウドサービスの安定性を検討する際、単にサービスの可用性が高いことだけに注目するのではなく、必要とするパフォーマンスを定常的に得られるかもチェックすべきポイントです。たとえばWebサービスなどの運営でIaaSを使う際、たびたびレスポンスが大幅に悪化するといった事態が発生すれば、サービスの質の低下に直結し、ユーザにフラストレーションを強いることになりかねません。
リソース共有型クラウドにつきまとう課題
特に気を付けたいのは、リソース共有型のパブリッククラウドです。多くのサービスは物理リソースを複数の仮想サーバで共有するため、ほかのユーザーの影響を受ける可能性がゼロとは言い切れません。特にミッションクリティカルな用途では、性能が適切に担保されないことのリスクは極めて大きいでしょう。
IaaSによっては、選択したインスタンスの種類によって「steal」と呼ばれる状況が発生し、パフォーマンスが大幅に劣化する可能性があることも覚えておくべきでしょう。stealとは、仮想サーバが要求したCPUリソースの供給を受けられない状態を指します。特定の種類のインスタンスでは、CPUの高負荷状態が続くと最低限のリソースしか割り当てられないことがstealの発生する理由です。
stealが発生するのは特定のインスタンスのみですが、いずれにしてもリソース共有型パブリッククラウドでのインスタンスの種類の選定は決して簡単ではありません。そもそも仮想化のオーバーヘッドがあるため、選択したスペックどおりのパフォーマンスが得られるとは限らないためです。
また共有するリソースは、CPUやメモリだけではありません。クラウドに接続するためのインターネット回線も多くのユーザーで共有することになるほか、外部ストレージを使っているサービスであれば、そこへ接続するためのネットワークもほかのユーザーと共有します。これらのネットワークで、ほかのユーザーの影響を受けるといったことも十分に考えられます。
安定したサービス運用に最適なベアメタルクラウド
オンプレミスで物理サーバを運用すれば、こうした問題を回避できますが、ハードウェア故障時の対応など運用負荷が大きい、物理サーバを迅速に追加できないなどといった課題があることを考えると、やはりクラウドで運用したいところでしょう。そこで検討したいのがベアメタルクラウドです。
クラウドサービスとして物理サーバを提供するベアメタルクラウドであれば、ほかのユーザーの影響を受けることもなく、安定したパフォーマンスを得ることが可能です。サーバからのレスポンスがサービスに大きな影響を及ぼす、ソーシャルゲームや広告配信サービスなどといった用途では、この安定したパフォーマンスが得られる利点は見逃せないでしょう。
用途に合わせてリソースをコントロール
1台のサーバで物理サーバのリソースをフルに使い切ることはないが、安定したパフォーマンスを得たいといったケースでもベアメタルは最適です。OpenStackなどのクラウド基盤ソフトウェアを導入すれば、ベアメタルをプライベートクラウド基盤として使うことが可能であり、構築した仮想サーバが安定したパフォーマンスを得られるように、自由にリソースをコントロールできるためです。
なおリンクが提供するベアメタルクラウドでは、サーバ作成時にプライベートクラウド基盤として、KVMを選択できます。また、10Gbpsの帯域を持つバックボーンに直結されているため、ネットワーク部分でほかのユーザーの影響を受けるリスクを抑えられます。さらにストレージはサーバ内蔵であり、ストレージへ接続するネットワークの帯域不足でレスポンスが悪化することもありません。
パフォーマンスの安定性を求めるのであれば、こうした観点からもサービスを選定すべきではないでしょうか。
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