ネットワーク帯域とは? 通信速度との関係と改善方法について解説

2022.07.13

リモートワークの普及に伴いWeb会議を行う場面も増え、企業ではこうした変化に対応するための環境整備が急ピッチで行われてきましたが、社員数が多い企業ではネットワークの帯域不足が問題化するケースも多かったと聞きます。「ネットワーク帯域」という言葉はよく耳にすると思いますが、「通信速度」と混同していることも多いかもしれません。本記事では、ネットワーク帯域とは何か、ネットワーク帯域と通信速度の関係や、改善方法について解説します。

ネットワーク帯域とは

そもそも「帯域」という言葉にはどのような意味があるのでしょうか。まず帯域という言葉の意味と、ネットワークの帯域幅について解説します。

帯域とは

帯域とは、電気信号などの通信に使用される周波数における「最も高い周波数」と「最も低い周波数」の範囲のことを指します。帯域は道路のように「広い」「狭い」と表現され、一般的には帯域が広いと一度に送信できる情報量が多くなり、狭いと情報量が少なくなります。

ネットワーク帯域幅とは

ネットワーク帯域幅とは、特定の時間内にネットワーク接続を介して送信できるデータの最大容量を指します。帯域幅が大きくなるほど、一度に送受信できるデータが多くなります。通常、帯域幅は1秒間に送信できる転送量または伝送路容量(1秒間に何ビット転送できるか)を示すbps(ビット/秒)の単位で表されます。

ネットワーク帯域と通信速度の関係

ネットワーク帯域幅を表すbps(ビット/秒)という単位は、ネットワークの通信速度を示す言葉としてよく使われています。ここでは、ネットワーク帯域と通信速度の関係について解説します。

ネットワーク帯域と通信速度の関係

ネットワーク帯域は、前述した通り、1秒間に送信できる転送量または伝送路容量を示すbps(ビット/秒)で表現されますが、本来、bps(ビット/秒)とは通信速度を示すものではありません。1Gbpsのネットワーク帯域幅は、「1秒間に1ギガビットのデータを転送できる」ことを示しています。
一度に大量のデータを転送できれば、その分短い時間でデータの通信ができるため、結果的にネットワーク帯域幅が広い=通信速度も速いと考えることができます。

ネットワーク帯域が狭いことによる問題

ネットワーク帯域が狭いと、一度に送信できるデータ量が少なくなります。そのため、下記のような問題が起こる可能性が高まります。

  • ファイル転送の遅延や中断
  • リモートワークのパフォーマンス低下
  • Webサービスの品質低下

ファイル転送の遅延や中断

ネットワーク帯域が狭いと、ファイルサーバーやシステム内部でのファイル転送が遅延することがあります。遅延の度合いが大きいと、ユーザビリティへの影響はもちろん、システムの処理エラーにつながる場合もあります。

リモートワークのパフォーマンス低下

ネットワーク帯域は、リモートワークのパフォーマンスにも大きく影響します。VDI(Virtual Desktop Infrastructure:仮想デスクトップ環境)においては、画面の描画速度が遅くなり、また、Web会議システムで音声や動画が途切れてしまうこともあります。

Webサービスの品質低下

自社のWebサイトなどを外部のレンタルサーバーやホスティングサービスなどを利用して公開している場合、契約しているサービスのネットワーク帯域幅はWebサービスのパフォーマンスに影響します。アクセスが殺到した場合など、ネットワークがボトルネックとなり繋がりにくくなったり非常にレスポンスが遅くなったりする可能性があります。特に画像や動画などを多く利用しているサイトの場合、通信量が多くなるため、より広帯域のネットワークが必要となるでしょう。

ネットワーク帯域を広げる方法

快適な通信を行うには、ネットワーク帯域を十分に保つ必要がありますが、ネットワーク帯域を広げることは可能なのでしょうか。最後に、ネットワーク帯域を広げる方法について解説します。

ネットワーク構成の見直し

企業のネットワークや、システム内部のネットワーク帯域を広げるには、ネットワーク構成の見直し行う必要があります。例えば、現在ではシステム内部のネットワーク帯域を1Gbpsまたは10Gbps程度を確保するケースが多いですが、古いシステムやネットワークでは、10Mbps~100Mbps程度、あるいはそれ以下の狭い経路が存在し、ボトルネックになるケースもあります。こうした通信経路を1Gbpあるいは10Gbps等の大容量に対応させたり、複数のケーブルをまとめて帯域幅を広げるネットワーク・ボンディング構成を取ったりするなどで、ネットワークの帯域を広げることが可能です。ただし、スイッチなどネットワーク機器の入れ替えや、大幅なネットワーク構成の見直しが必要となる場合もあるため、事前に十分な調査を行うことが重要です。

回線種別の変更

企業内LANやシステムの内部ネットワークではなく、インターネット回線や拠点間など外部の回線の帯域を広げるには、契約しているWAN回線などの回線種別を大容量のものに変更する必要があります。ただし、インターネット回線やWAN回線の帯域幅を広げる場合、契約内容によってはコストが大幅に高くなる可能性もあるため、必要とされる帯域幅などしっかりと確認をすべきでしょう。

帯域制御の導入

内部・外部のネットワークの帯域幅を拡張するだけでなく、帯域制御という技術を導入することも有効です。帯域制御とは、パケットの種類毎に、使用可能な回線容量を制限し、通信速度やデータ転送量をコントロールする技術です。回線を利用者間で効率よく共有するために、大量データの通信を制限し、コストを抑えながら一定の品質を保った通信を実現することができます。

広帯域のクラウドサービスの利用

外部のレンタルサーバーやホスティングサービスなどを利用している自社Webサイト・Webサービスの通信パフォーマンスを上げるためには、ネットワーク帯域の広いクラウドサービスを利用することも方法のひとつです。廉価なレンタルサーバーなどはネットワーク帯域も他のユーザと共有しているため、あまり広いネットワーク帯域を使用できない傾向にあります。高いスケーラビリティを誇る、AWSやAzureなどのパブリッククラウドは、帯域のスケールも可能ですが、アウトバウンドの通信量に応じた従量課金となるため、通信量には注意する必要があります。

まとめ

ネットワーク帯域は、ネットワークの通信速度に大きく影響する指標であると共に、システムやサービスのパフォーマンスにも影響する重要なインフラでもあります。

ベアメタルクラウドは、共用10Gbpsのインターネット回線を提供しており、広帯域のネットワークが強みです。また、AWSなど一般的なパブリッククラウドでは転送量が従量課金となるところが無料のため、通信量が多いWebサービスの基盤として利用するには最適です。通信のパフォーマンスを安定させるために、ぜひ利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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