WebDAVとは?機能や問題点、代替手段をわかりやすく解説

2025.05.08

サーバーにあるファイルを、Webブラウザ上で簡単に読み取りや編集ができる仕組みがWebDAVです。特別なソフトウェアや複雑なネットワーク設定を行わずに、WebブラウザとHTTP通信だけでサーバー上のファイル管理が可能になります。かつては広く利用されていましたが、現在では主要プラットフォームの多くで非推奨とされるなど、運用面での注意が必要になってきました。

本記事では、WebDAVの概要や機能、メリットと課題を整理し、最後に代替手段についてもご紹介します。

WebDAVとは

WebDAV(Web-based Distributed Authoring and Versioning・ウェブダブ)とは、クライアント端末からWebブラウザを介してサーバー上にあるファイルの読み取り・編集を行える仕組みです。Google DriveやDropboxなどのオンラインストレージサービスを利用してファイル操作を行うイメージに近いでしょう。

WebDAVの仕組み

WebDAVはWebブラウザとWebサーバーの通信を行うためのプロトコルであるHTTPを拡張したものです。HTTPの機能にファイルの属性情報の取得や変更、新規作成、複製、移動といった機能を追加することにより、ファイルシステムの操作と同じようにWebブラウザからサーバー上のファイル管理を行うことを実現しています。

FTPとの違い

従来はWebサーバー上のファイルを管理するには、FTPなどのファイル転送プロトコルを利用することが一般的でした。しかし、サーバー上のファイルを直接編集することはできず、取得したファイルをクライアント側で編集する必要がありました。さらに、FTPを利用するには必要なポートを開放する必要があり、ファイアウォールなどを設定している場合は一旦解除しなければなりません。こうした手間やセキュリティ面の懸念が存在します。

しかしWebDAVなら、HTTPを利用するためこのようなFTPのデメリットをクリアできます。また、FTPは利用するために専用のソフトウェアのインストールが必要なのに対し、WebDAVは不要という違いもあります。

WebDAVの機能

WebDAVの主な機能は次のとおりです。

サーバー上でのファイル操作

WebDAVを利用すると、クライアント端末から共有場所へアクセスするだけでサーバー上のファイルでも、ローカルPC上のファイルと同じように直接編集・操作することができます。

ファイル共有

HTTPを利用しているため、インターネット上でファイル共有ができます。共有場所にファイルをアップロードすれば簡単にデータのやりとりが可能になるため、共同作業に適しています。

WebDAVの特徴・メリット

WebDAVの特徴とメリットは次のとおりです。

ソフトウェアのインストールが不要

WebDAVは特別なソフトウェアのインストールが不要で、クライアントPCのOSに付属する機能として動作します。面倒な作業が不要で、セキュリティの観点からソフトウェアのダウンロードやインストールを禁止している環境でも導入しやすいことがメリットです。

ポートの開放が不要

FTPは利用するためにポートの開放が必要なのに対し、WebDAVは一般的なインターネットを利用できる環境があれば新たにポートを開放する必要はありません。ポートの新規開放を禁止している場合でも問題なく、ファイアウォールの設定変更なども不要です。

さまざまな環境で利用可能

WebDAVはWindows、macOS、LinuxなどのOSに対応しているため、さまざまな環境に対応できます。WebDAVを利用することで、プラットフォームの違いを意識せずにスムーズなファイル管理を実現できます。

WebDAVの問題点

一方、WebDAVの問題点として挙げられるポイントは次のとおりです。

適切なセキュリティ対策が必須

WebDAVの利用にはファイアウォールの解除やポートの開放は不要なものの、HTTP自体に暗号化などの機能はありません。そのためSSL/TLS設定などの適切なセキュリティ対策が求められます。

またログイン情報が漏洩して不正にアクセスされたり、設定ミスにより意図せずファイルが外部から閲覧できたりしてしまうなどのリスクも考えられます。ログイン情報の管理や適切なアクセス権限の設定、バックアップ取得などの徹底が必要です。

通信が不安定

FTPと比較すると、WebDAVの方がファイル送受信時の通信が不安定になりやすく、時間がかかる場合があります。容量の大きいファイルを頻繁に送受信するのであれば、注意が必要です。

主要プラットフォームでのサポート終了が進行中

WebDAVはかつて広く使われたファイル共有プロトコルですが、近年では主要なプラットフォームでサポート終了や非推奨の動きがあります。セキュリティ的な課題が多いことや、クラウド型のファイルサービスの増加、利用者が求めるユーザビリティの変化など、複数の理由が原因です。

その結果、MicrosoftではWindows 10および11においてWebClient(WebDAV)サービスが非推奨(Deprecated)になり、クラウドストレージのBoxでは、2023年4月28日をもってWebDAVサポートを終了し、Box DriveやBox APIへの移行を推奨しています。

より便利で安全なファイル管理を実現するには

WebDAVはメリットが多い一方で、注意すべきポイントもあります。この課題を解決してより便利で安全なファイル管理を行うには、リンク ベアメタルクラウドが提供するファイル共有サービス「Proself」を利用することも有効な手段です。

Proselfの主な特徴やメリットは次のようなものがあります。

セキュアな状態でのファイル共有

Proselfを利用したファイルサーバーへのアクセスはVPN(仮想プライベートネットワーク)接続が可能です。また、アカウントを持っていないユーザーに対してもパスワード発行・付与が可能なためセキュアな状態でファイル共有ができます。

安定したパフォーマンス

Proselfは専用の物理サーバーでサービスを提供するため、他のユーザーの影響を受けることがありません。安定したパフォーマンスを維持できるため、容量の大きいファイルをやりとりする場合にも安心です。

SaaSのような利用形態

サーバーの構築・運用からProselfのインストールまで、リンク ベアメタルクラウドが作業を担います。そのためユーザーは面倒な構築や設定作業が不要になります。SaaSのような感覚で気軽に利用できることもメリットです。

まとめ

WebDAVは、クライアント端末からWebブラウザを介してサーバー上にあるファイルの読み取り・編集といった管理を容易に行えるHTTPを拡張した仕組みです。
従来のファイル転送に利用されるFTPと比較して、ポートの開放や専用ソフトウェアのインストールが不要という違いがあります。サーバー上のファイルを​​直接編集・操作できることもメリットで、利便性が高いことが特徴です。一方で、適切なセキュリティ対策が必要なこと、通信が不安定になりやすいことなどの問題点も存在します。

このWebDAVの課題を解決して、より便利で安全なファイル管理を実現するためにおすすめなのが、リンク ベアメタルクラウドが提供するファイル共有サービス「Proself」です。Proselfではよりセキュアな状態でのファイル共有、安定したパフォーマンスを提供します。SaaSのように気軽に利用できるため、ぜひ検討されてみてはいかがでしょうか。

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